みなし(固定)残業とは?勤務する労働者側にメリットはあるのか?

男性残業

みなし(固定)残業制とは、一定の残業時間内の残業については、予め残業代を雇用する側と働く側で決めておく契約のことを指します。具体的には、残業時間が事前に決めた時間よりも少なければ、労働者側は事前に決めた残業代の支給を受けられ、事前に決めた残業時間を超えて勤務した場合には、追加で残業代を支給するという制度のことです。一見すると、働く側にメリットが大きいような制度のような気がしますが、実際にこれが労働者側に有利に働くことはまず無いと考えていた方が良いでしょう。それはなぜなのかという点と、みなし(固定)残業のメリット・デメリットを解説します。

会社側のメリット

毎月の給与や人件費の計算が簡単

会社側からすると、給与や人件費を残業代込みで決めておくことで、毎月の支出額の計算が簡単だとかいうメリットが有ります。ただ、実際には残業代を計算するのは、大して手間ではないので、会社側にとって、都合の良い制度と言えるかもしれません。

給与の支給額を高く見せられる

毎月の給与の支給額をみなし残業時間込みで計算すると、下記の例のように、残業無しの毎月の給与より、支給額を高く見せることが出来ます。
例.
月給20万円(残業代は別途残業分支給) < 月給30万円(月40時間のみなし残業代込み)

そのため、求人サイトなどで月給や年収ベースで検索条件を指定できるような場合には、都合良く支給額を多めに見せることが可能なのです。しかし、みなし残業時間込みの給与をを実際はほとんど最低賃金と変わらないといった求人も、しばしば見受けられますので注意してください。

労働者側が意識しておくポイント

みなし(固定)残業代の範囲内は、働いても働かなくても給与は同じだが・・・

みなし(固定)残業代を採用している仕事の場合、労働者側は残業などをしないで、素早くその日の業務をお終わらせ、退社してみなし残業代を受け取ってしまった方がお得です。しかし、実際はそうはいかず、日々みなし(固定)残業代の範囲分の業務を命じられるのが大半です。それを聞くと、まるで詐欺のような話かと思えるかもしれませんが、みなし(固定)残業代について合意の上、雇用契約を結んだ場合には、基本的に会社側は従業員を働かせることが出来るので、十分な注意が必要です。

編集部から

みなし(固定)残業制は、働く側にとってメリットがちゃんとあれば、働く側にとっても会社側にとっても大変良い制度だと思いますが、中々そう綺麗事だけで片付けられない企業側の良心や善意が問われる制度です。

もし、あなたがこれから気になる求人を見つけ、その求人がみなし(固定)残業制を提示していたら、本記事で解説した点を思い出して、みなし残業代込みの給与で、不利な募集条件ではないかを十分に確認した方が良いでしょう。